歌声合成サイト「Sinsy」 – NVDAとMuseScoreを使って視覚障害者(全盲)でも歌声データを作成できる

オープンソースで無料で使用できる楽譜作成ソフト「MuseScore」のベータ版はスクリーンリーダーNVDAの読み上げ音声を聞きながら、視覚障害者が、印刷するための五線譜の楽譜を作成したり、他の音楽ソフトで使用できるMusicXML形式で保存したりできるソフトです。

「Sinsy(しぃんしぃ)」はボーカロイドのようなことができるサイトです。歌詞とメロディのMusicXMLファイルをアップロードすると歌声に変換したwavファイルをダウンロードできるようになっています。無料で利用できます。

このサイトの機能をソフトウェア版にした「CeVIO Creative Studio」でも、MusicXMLファイルをインポートできるので、Sinsyサイトと同じように、MuseScoreで歌詞とメロディーのMusicXMLファイルを作って読み込むことで歌声に変換できます。こちらは有料のソフトです。またCeVIOでの細かな操作はスクリーンリーダーでは難しそうです。

NVDAでのMuseScoreの使い方

●音符を入力できるまで

NVDAの読み上げで使用できるのは「MuseScore 2.0 Beta」というバージョンです。ベータ版ではないMuseScore 1.3は読み上げできないようでした。

ソフトを起動後、Ctrl+nで新規ファイルを作成します。Altを押しただけではNVDAはメニューバーを読み上げませんが、Alt+fのようにメニューの一つを開くとそのあとのメニュー項目は読み上げられます。

タイトルの入力をして「次へ」を押します。

、楽器の選択で、「ボーカル」を選び、「追加」を押して「次へ」を押します。

調合はキーボード操作では入力できませんが、一度MusicXMLファイルを書きだしてそれを直接書き換えてもう一度MuseScoreで読み込むことで指定できます。

「テンポ」をチェックしてテンポをコンボボックスのところで調整します。デフォルトは100になっています。たとえばカーソルを上に押して120にします。

拍数を4分の2拍子や4分の4拍子などを選び、小節数を9などと入力します。

後でSinsyで変換するためには、冒頭に休符が必要なので、入力したい曲の長さに1小節プラスします。9は1+8です。「完了」を押します。

調合の変更は、MusicXMLをテキストエディターで開き、に囲まれた数字を書き換えます。0はシャープもフラットもなしで、ハ長調、-1のようにマイナスのついた数字ならフラットの数、マイナスなしの数字はシャープの数になります。ヘ長調にしたいときは、-1になります。上書き保存してMuseScoreで

これで音符や歌詞を入力できるようになります。

●音符の入力

まずメロディの音符を入力します。

nキーをおして、「音符入力モード」にします。右カーソルを押すと「休符なんとかなんとか…」とNVDAが読み上げるので音符入力モードに入っていることが分かります。

左カーソルを押して先頭の小節に戻り、7、次に0と入力します。7は全♪の長さで0は休符です。音符の長さと数字の対応は:

  • 3 は、16分音符
  • 4 は、8分音符
  • 5 は、4分音符
  • 6 は、2分音符
  • 7 は、全♪

数字の後に.(ピリオド)を付けると付点になります。

音程は c d e f g a b で入力して、オクターブはCtrl+上下カーソルでコントロールします。上下カーソルだけを押すと半音あげたり下げたりになります。

Sinsyで変換するMusicXMLファイルの先頭は休符でなくてはならないという注意があるので、1小節目はこのように全休符にします。(実際に試すと、休符はなくても変換できるようです、何が変わるのかはわかりません。)

たとえば童謡の「赤い鳥小鳥」のメロディ、「ファーファファファーファー、ソーラーソー」の入力は:
4f3ff4ffgag0

のようになります。4fは8分音符の「ファ」で、3fは16分音符の「ファ」です。1オン入力すると、自動で次の入力位地へ移動します。

おんぷの長さの数字を省略すると前の音符と同じになります。

●歌詞の入力

歌詞を入力するには、文字を付けたい音符にカーソルを合わせて、Escキーを1回だけ押して音符入力モードを抜けて、その音符が選択されている状態にします。(もう一度Escを押してしまうと選択が解除されてしまいます。)

そこでCtrl+lを押します。(lはlyric(歌詞)の頭文字です。)

例えば最初の「ファ」の音「4f」が選択された状態で、Ctrl+lを押して、「あ」と入力して、半角のスペースを押します。続けて次の音符が選択されるので「き」と半角スペース、「な」と半角スペースというように、その音に当てはまる文字とそれにつづけて半角のスペースを入力していきます。

Escキーを押して歌詞入力モードから抜けて、nとエンターで音符入力モードに入ります。すると左右カーソルを動かすと、音符の長さや小節の位置の情報の後にその音符につけられた歌詞の文字も、NVDAの音声で読み上げられます。

● Ctrl+vで1文字ずつ張り付けていく方法

歌詞は上のように入力する方法と、テキストエディタにまとめて入力しておき、Ctrl+vで1文字ずつ張り付けていく方法もあります。

エディタで歌詞を入力するときにも、音符一つにあたる文字の後に半角スペースを入れて入力しておきます。たとえば:

あ か い と り こ と り

のように入力しておきます。これをCtrl+a、Ctrl+cですべて選択、コピーします。

そして、始まりの音符を選択してCtrl+lで歌詞入力モードにして、Ctrl+vと押します。

1回Ctrl+vを押すごとに一つ分の音符の歌詞の文字が張り付けられます。音符の終わりまでCtrl+vを繰り返します。

●MusicXMLのエクスポート

そのまま「保存」を選ぶとMuseScore独自の形式で保存されますが、Sinsyで変換するために「エクスポート」メニューを選び、ファイルの種類をMusicXMLにして保存します。

SinsyへのMusicXMLファイルのアップロードと変換

Sinsyのサイト www.sinsy.jp/ を開き、ファイルの参照ボタンを押して作ったMusicXMLを選び「送信」を押します。すると変換されたwavファイルのリンクが表示されダウンロードできるようになります。

私の環境ではInternet Explorerではブラウザがクラッシュしてしまって変換できませんでしたが、Firefoxではうまく変換できました。

参考

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