ミステリーの女王「アガサ・クリスティー」と読字障害(ディスレクシア)

最近私は、アガサ・クリスティーのミステリーばかり、サピエ図書館のデイジー録音図書で聞いています。

クリスティーの作品には推理小説ではない恋愛小説や、推理・ミステリーの中でも怪奇的なもの、全体的に暗い雰囲気のものなどいくつかタイプがありますが、私が好きなのは、ポアロやマープルものでも明るい雰囲気のもの、トミーとタペンスのもの、パーカー・パインのものなど、あまり重苦しくない作品の方です。

私は落語を聞くのも好きで、落語には「八っつぁん熊さんにご隠居さん、与太郎」といったお決まりの登場人物がいます。

クリスティーの小節にも、叔父叔母の死で財産を手に入れるお金のない若い男女とか、女性に魅力的な男性の殺人者とか、悪い男にだまされる女、女にだまされる男など、お決まりの人物がいます。その人たちの織りなすドラマを語る、クリスティの語り方が楽しいのだと思います。名人の話芸と同じです。ストーリが同じでも語り方がおもしろいのです。

このアガサ・クリスティーですが、ネットを見ると、読字障害(ディスレクシア)のある有名人のリストの中にトム・クルーズやジョン・レノンと並んで出てきます。

「名探偵コナン」や「相棒」や三谷幸喜の「オリエント急行殺人事件」など、今でもアガサ・クリスティーの影響はあちこちで見られます。このクリスティーが、単語のスペルを書くことに大きな困難があったことを、最近初めて知りました。

出典はクリスティーの自伝でしょうか、はっきりわかりませんが、ネットなどでクリスティー自身の言葉として、次のような言葉が引用されています。

“I, myself, was always recognized…as the “slow one” in the family. It was quite true, and I knew it and accepted it. Writing and spelling were always terribly difficult for me. My letters were without originality. I was…an extraordinarily bad speller and have remained so until this day.”

「家族の中で『遅いもの』として認識されており、単語のつづりがとてもひどく、それが現在に至るまで続いている」というようなことです。

裕福な家に生まれたアガサですが、兄と姉は寄宿学校に通わせてもらっているのに、クリスティーは学校には行っておらず、家庭教師がついていることからも、兄や姉とは異なっていたことがうかがわれます。

自伝の中にも人を雇って口述筆記している場面が出てきます。

またクリスティーの実質的な最後の作品で、年を取ったトミーとタペンスが活躍する「運命の裏木戸(1973年、83歳のときの作品)」の冒頭でのタペンスの言葉に、「8歳で本を読めるようになったこと」と、「今でも単語をつづるのが難しい」という言葉が出てきます。

本を読めるようになることや単語をつづることに困難(読字障害・ディスレクシア)のあった、アガサ・クリスティーの作品を、視覚障害(全盲)のため一般の図書を読むことのできない私は今、点字や朗読、電子書籍など、いろいろな方法で読むことができます。すばらしいです。

視覚障害者が読むことのできるアガサ・クリスティーの図書(電子書籍、録音図書、点字)

●Project Gutenberg(グーテンベルクプロジェクト)

1890年生まれで1976年に亡くなったクリスティですが、

  • The Mysterious Affair at Styles(「スタイルズ荘の怪事件」)
  • The Secret Adversary(「秘密機関」)

の2つは著作権が切れているようで、Project Gutenbergで英語の原書を、無料で読むことができます。

●グーテンベルク21 デジタル書店

電子書籍ストアの「グーテンベルク21」でクリスティーの作品のいくつかをテキストファイル形式で購入できます。

また「メール本」という作品をいくつかのメールで受け取る形の、無料お試しの作品がクリスティーのものになっています。

ただし翻訳はハヤカワ文庫など有名な出版社のものとは違う人のものです。

クリスティーのものも含め、いろいろな作品の冒頭の部分を無料で読むことができます。

●サピエ図書館

「サピエ図書館」は視覚障害やその他の障害(ディスレクシアも含めて)のため、一般の書籍を読むことが困難な人が会員として登録して利用できるオンライン図書館です。

点字の図書と「デイジー録音図書」、「テキストデイジー」の形式の図書を、会員は無料で利用することができます。(寄付金の協力はお願いされます。)

デイジー録音図書はボランティアの方が朗読した音声で、テキストデイジーはパソコンのソフトやスマートフォンなどのアプリの合成音声の読み上げで聞くことができます。

アガサ・クリスティーの作品も点字でもデイジー録音図書でも沢山登録されています。有名なものはすべてあると思います。

●Bookshare(ブックシェア)

「Bookshare(ブックシェア)」はアメリカのオンライン図書館で、一般の書籍を読むことに困難のある人のための図書館です。日本からも、障害の診断書など必要な書類を送ることで利用することができます。

テキストデイジーが主な形式で、それを点字や合成音声で読み上げをmp3に変換した形式も利用できます。

英語の図書がもちろんほとんどで、スペイン語やドイツ語、フランス語の本も一部ありますが、日本語の本はありません。(日本語の本の翻訳はあります。紫式部や村上春樹など。)

利用は有料で、年間50ドルです。

アガサ・クリスティーの作品は有名なもの、主なものはだいたいあると思います。「Complete Poirot」や「Complete Miss Marple」のようにまとめられた版も登録されています。

●Audible Audiobook(オーディブル オーディオブック)

英語の雑誌やベストセラーや古典的な名作のオーディオブックを有料でダウンロードできるサイト。雑誌では「ニューヨークタイムス」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」などがあります。

クリスティーの作品も沢山あります。

合成音声ではなく、人の朗読です。図書を朗読したものだけでなく、ラジオドラマのようになった(dramatized)もタイトルもあります。

その他、YouTubeで「agatha christie」を検索すると、オーディオブックの抜粋や、映画の予告編などが出てきます。

参考

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